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宮下 敦巳; 山本 春也; 吉川 正人
no journal, ,
水素化社会の実現のため、水素を有機水素化合物(OHC)の形で貯蔵・運搬する技術に注目が集まっている。有機水素化合物検知材料(OHC-M)を用いて光学的にOHCを検知するには、OHCから水素を脱離させる反応を進行させるため、OHC-Mの加熱が必要となる。本研究では、検知光と赤外線レーザ光を導入できる小型の吸光度測定装置を試作することにより、ヒータ等の電源設備を用いることなくOHC-Mを光加熱する手法の可能性を調べた。その結果、波長1070nm、出力18.0WのYb赤外光ファイバレーザによる予備実験では、OHC-Mの温度を10分程度で150Cにまで加熱できることが分かった。またOHC-Mの試料台を熱容量の小さなセラミックスで作製した場合、瞬時に150Cまで温度を上昇できることが分かった。膜厚1158nmの3酸化タングステン()薄膜にPtを14.4nm蒸着したOHC-Mを加熱した後、流量200ml/minの1.0%シクロヘキサンを接触させた時の透過光強度の時間経過を調べると、単純な指数関数的減少では無く、減衰時定数の異なる2つの成分を有する減少であることが分かった。今後、OHC-Mの特性評価を進めると共に、異なる2つの成分の物理的要因の解明を目指す予定である。